昔の家

小学校卒業までボロい木造住宅に住んでいて、数年前に取り壊されてしまったんだけど、年齢を重ねて懐かしく思うことが多くなってきた。

 

住んでた頃は他の子の家と違うこととか嫌で仕方なかったけど、その後に引っ越した先のふつうのマンションと比べると味があったなと思う。

12年間過ごした、もう行くことができない場所。目を閉じて隅々まで歩く想像をしてみると、わりと鮮明に思い出せた。扉の引手の質感とか、玄関の窓から差し込む光を反射する廊下とか、母の部屋の触ると砂が手につく壁とか、こんな感じだったなあと。

 

隙間を見つけては入りこんだり、壁と壁の間を登ったり、冷蔵庫のドアを開けて閉まるまでに台所から廊下、居間を走り抜けて戻ってきて閉まるのを阻止したり、一人でたくさん遊んで、退屈することがなかった。

 

思い出になればいいものだったと思える。嫌で仕方ないこともあったはずなんだけど思い出せない。